ロボットケーブルの試験の種類
ロボットケーブルは、高い柔軟性と耐久性を備えたケーブルです。ロボットケーブルとしてケーブルを選定する際は、実際の使用環境でどれくらい耐えられるのかを重要視して、ケーブルを選定しています。
ロボットケーブルは、各メーカーが独自に様々な種類の移動性能試験を行い、耐久力を評価しています。
今回は、ロボットケーブルの試験の種類についてご紹介します。
ロボットケーブルの耐用年数は推定可能?
ロボットケーブルには、寿命が存在します。ケーブルの耐用年数が事前に分かっていれば、寿命を迎える前に交換して、設備の故障による生産ラインの停止を防ぐことが可能です。また、設備を短期間でリプレースすることが予定されており、耐用年数が大きな問題ではない場合は、コストを抑えた製品を選ぶことも選択肢の1つとなります。
それでは、ロボットケーブルの耐用年数は推定することが可能なのでしょうか。ロボットケーブルは、各メーカーが実施する性能評価試験により、耐用年数の推定が可能とされています。
ロボットケーブルの試験の種類
ここでは、ロボットケーブルの代表的な試験の種類についてご紹介します。
U字型折り返し試験
ケーブルをU字に折り曲げて試験装置に設置し、どれだけ耐えられるのかを確認します。速度や回数、曲げ半径、移動距離などを設定し、精密な試験を行います。
移動曲げ試験
ケーブルを滑車に取り付け、左右の端に規定のおもりを吊るした状態で、移動台車を左右に往復させる試験です。これにより、移動の「曲げ」に対してどの程度耐えられるかを確認します。
曲げ試験
ケーブルを試験装置に取り付け、ケーブル中央部を一定の速度で回転させます。ケーブルを曲げたときの耐久性について確認します。
屈曲試験
直立させたケーブルが逆U字型になるように曲げ、一端を固定した状態で、もう一端におもりをつけて揺らします。屈曲に対してどこまで耐えられるか、回数や角度、速度なども設定した上で実施します。
折り曲げ試験(大型・小型)
ケーブルを直立させた状態で試験装置に取り付け、指定の速度で左右90度に繰り返し屈曲させた時、どの程度の回数耐えられるかを確認します。
試験の根拠となる主な規格や法律の種類
ここまで、代表的な種類の試験をご紹介しました。
メーカー各社の試験のなかには、日本や海外の規格・法律に基づいて設計されているものがあります。
日本の規格や法律に則るのはもちろんのこと、海外へ製品を輸出する場合は、各国あるいは各地域で定められている規格や法律を満たす必要があるのです。
ケーブルの試験においてよく参照される規格や法律には、下記のような種類があります。
JIS
日本の産業標準化の促進を目的とする「産業標準化法」に基づき制定された日本産業規格(JIS)。
日本の国家規格であり、電源・ケーブルにおいてはJIS C 3005 やJIS C 3521を参考にした試験が広く行われています。
認証を受けた製品にはJISマークがつきます。
また、JISは長らく「日本工業規格」と呼ばれていましたが、2019年7月1日に名称が変更され、「日本産業規格」となりました。
電気用品安全法
電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする、日本の法律です。
この法律でも試験方法が図解で示されています。
法に定められた手続きなど条件を満たした製品にはPSEマークを表示する義務があります。
UL
アメリカ保険業者安全試験所(UL)が定める、電気製品、材料、部品に関する認証規格です。火災をはじめとする事故から人命を守る目的で制定されていて、UL認証を受けた製品にはULマークがつきます。
また、ULはカナダのCSAからCSA規格の試験・認証を行う機関として認証を受けており、CSA規格に基づいて試験を行った製品にはc-ULという表示が可能になります。
IPA
ヨーロッパ最大の応用研究機関である、ドイツの「フラウンホーファー(Fraunhofer)」。
その研究施設内にある、生産技術・オートメーション研究所(IPA)が定める認証規格です。
特に対象となる設備や装置がクリーンルームでの使用に適しているかの試験が行われます。
CSA規格
CSA(Canadian Standards Association)規格とは、カナダ規格協会が制定した安全規格です。
電気製品をカナダへと輸出するのであれば、CSA規格の認証が必要となります。
このCSA規格は安全保障や人命の保護がその目的です。
おわりに
今回は、ロボットケーブルの実用試験の種類や、その根拠となる規格・法律の例についてご紹介しました。
燃焼試験やクーラント試験については他の記事をご参照ください。
過酷な環境下で利用されるロボットケーブルは、さまざまな種類があり、それぞれ試験によって品質が厳しくチェックされています。ロボットケーブルの種類を選ぶ際は、メーカーが実施した試験結果を確認することをおすすめします。