移動用ケーブルの実用試験方法について
移動用ケーブルは、曲げ、捻り、伸縮等の負荷が大きい動作が繰り返されることとなります。ケーブル選定の際に移動性能を評価する目安となるのが各種実用試験です。
移動用ケーブルの実用試験から推定できること
移動用ケーブルの実用試験では、ケーブルの屈曲性や耐久性、絶縁体の性能を評価することができます。
ひいては、移動ケーブルを使用した製品の寿命を推定したり、より高い品質の製品開発を可能にしたりするのです。
法令に基づいた実用試験方法の例
ケーブルを製造するメーカーでは、JISや電気用品安全法など法令に基づいた試験を実施しています。
太陽ケーブルテックでは下記のような試験を行っています。
※いずれも試験後、導体断線や線間短絡を生じていないこと、絶縁体・外装にひびや割れ、その他の異常がないことを確認するものです。
・曲げ試験
<準拠>JIS C 3005【ゴム、プラスチック絶縁電線試験方法】4.27「曲げ」1項
<試料>完成品約1.5m
<試験方法>装置に試料を固定間距離L=300mm、曲げ半径r=150mmの寸法で取り付け、毎分約50回の速度で回転させる。
・屈曲試験
<準拠>電気用品安全法 別表第一、附表第二十四「耐震試験」を一部変更
<試料>完成品約0.5m
<試験方法>装置に試料を曲げ半径r=6Dで取り付け、毎分200回の速さで屈曲させる。
・移動曲げ試験
<準拠>電気用品安全法 別表第一附表第二十六「移動曲げ試験」
<試料>完成品約3m
<試験方法>滑車を取り付けた移動台車のある装置に試料を取り付け、両端におもりを吊るす。移動台車を毎秒約0.33mの速さで0.5m以上の距離を左右に往復させる。
メーカー独自の実用試験の例
メーカー独自の実用試験もあります。
※いずれも太陽ケーブルテック独自の試験で、試験後、導体断線や線間短絡を生じていないこと、絶縁体・外装にひびや割れ、その他の異常がないことを確認するものです。
・U字型折り返し試験
<試料>完成品約1.5m
<試験方法>装置に曲げ半径r=6Dの寸法で取り付け、毎分約88mの速さで試料を前後に往復させる。
・直線捻回試験
<試料>完成品約1m
<試験方法>試料を装置に取り付け、回転子の角度が±60,90,180°となるように毎分約60回の速さで捻回させる。
・90°曲げ捻回試験
<試料>完成品約1m
<試験方法>試料の片端を90°折曲装置に取り付け、他端に一定重量の重りを吊るし、装置を毎分約40分の速さと一定の曲げ半径で折り曲げる。
おわりに
各試験結果からケーブルの移動特性をある程度見極めることができます。
試験の詳細はメーカーにお問い合わせください。