AWG規格の単位や計算式について
導体の太さは許容電流や電線の規格にも関係します。
今回は、導体の太さに関係する計算式やAWG規格との対応についてご紹介します。
許容電流量の求め方
許容電流とは、電線、ケーブルに安全に流せる電流の大きさの上限です。
電線・ケーブルの各メーカーは、配線環境における周囲の温度を30℃もしくは40℃として、電線・ケーブルの種類ごとに許容電流を定めております。
詳しくは各メーカーの技術資料をご参照ください。
さらに下記のような場合には、火災事故等の防止のため、電源・ケーブルの許容電流を低く設定する必要があります。
・周囲の温度が異なる場合
・気中多条布設の場合
・その他リール巻や、地下に布設する場合など、放熱が悪い状況
具体的な計算式は許容電流表の値に補正係数や低減率を許容電流に乗じることで数値が求められます。
電線の太さと抵抗の関係式
電線の導体抵抗は、直径が太いほど小さくなります。
ρ:抵抗率[Ω?m]
L:電線の長さ[m]
S:断面積[m^2]
とすると電線の導体抵抗R[Ω]は
R = 抵抗率 × 電線の長さ / 導体の断面積
= ρ × L / S
の計算式で求められます。
断面積Sは直径をd[m]とすると、このように表現できます。
断面積S = 半径 × 半径 × π(円周率)
= 直径/2 × 直径/2 × π = πd2/4
電線の導体抵抗を電線の太さで表すと
R = ρ × L / πd2/4
となります。
以上の計算式から、電流は導体の断面積が大きいほど、直径が大きいほど導体抵抗の値が小さくなり、多くの量を流すことがわかります。
AWGからinchやmmの変換方法
AWG(American Wire Gauge/アメリカンワイヤゲージ)とは、UL規格で認定されている電線の規格です。
AWG規格は「AWG〇〇(〇〇は数字、記号)」などと表記され、番号が大きいほど導体が細くなります。
たとえばAWG4/0 (AWG0000)の導体部分の直径は0.4598inch =11.68mm 、AWG20の導体部分の直径は0.032inch =0.8128mm です。
AWGと直径の対応は、下記のとおりです。
AWG 直径(inch) 直径(mm)
4/0(0000) 0.4598 11.68
3/0(000) 0.4094 10.40
2/0(00) 0.3648 9.266
1/0(0) 0.3249 8.252
1 0.2893 7.348
2 0.2576 6.543
3 0.2294 5.827
4 0.2043 5.189
5 0.1819 4.620
6 0.162 4.115
7 0.1443 3.665
8 0.1285 3.264
9 0.1144 2.906
10 0.1019 2.588
11 0.0907 2.304
12 0.0808 2.052
13 0.0720 1.829
14 0.0641 1.628
15 0.0571 1.450
16 0.0508 1.290
17 0.0453 1.151
18 0.0403 1.024
19 0.0359 0.9119
20 0.032 0.8128
21 0.0285 0.7239
22 0.0253 0.6426
23 0.0226 0.5740
24 0.0201 0.5105
25 0.0179 0.4547
26 0.0159 0.4039
27 0.0142 0.3607
28 0.0126 0.3200
29 0.0113 0.2870
30 0.01 0.2540
31 0.0089 0.2261
32 0.008 0.2032
33 0.0071 0.1803
34 0.0063 0.1600
35 0.0056 0.1422
36 0.005 0.1270
37 0.0045 0.1143
38 0.004 0.1016
39 0.0035 0.08890
40 0.0031 0.07874
また下記の計算式でも求めることができます。(AWGの番号をnとします。)
直径(inch) = 0.005 × 92 ((36-n)/39)
直径(mm) = 0.127 × 92 ((36-n)/39)
おわりに
製品の安全性の確保、およびコストダウンを図るためには、電線・ケーブルの許容電流を考慮のうえ適切なサイズを選ぶことが必要となります。
ケーブルを選定する際にはメーカーの担当者に電線・ケーブルの用途や布設する場所について詳細に伝えるようにしましょう。