ロボットケーブルなどの損傷、ねじれや断線の原因とは?
ロボットケーブルはロボットの細かな動きにも対応できる機能を有しますが、消耗品であるために損傷が起こる可能性はあります。
よくある損傷、ねじれや断線とその原因をご紹介します。
ねじれ(コークスクリュー現象)
曲げ動作において、ロボットケーブルの線心に機械的な負荷やケーブルを引っ張る際の負荷が過剰にかかり、ロボットケーブル全体に細かく左右にねじれたような変形が起こることがあります。
これをコークスクリュー現象(蛇行現象)といいます。
ねじれの状態は、被覆の外側からもわかるほどです。
いったんコークスクリュー現象が起こるとロボットケーブルの形が復元することはなく、その後多くの場合、線心の破断が発生します。
原因としては下記が挙げられます。
・層撚りのロボットケーブルである
・中心材がない
・曲げ半径が小さすぎる
・ストロークが長すぎる
ねじれ(コークスクリュー現象)を起こさないようにするには、ケーブルの構造だけでなく布設時にも下記のような注意が必要です。
・ロボットケーブルを引き出すときにねじれないよう、ターンテーブルを使用する
・ケーブルに張力を加えない、緩くしすぎない
・ケーブルが並ぶ場合は横幅に余裕を持たせ、ケーブル間やエアホースとの間に仕切りを設置する
・外径が異なるケーブルを分ける
絶縁体の損傷や外被、シールドの破断
絶縁体や外被、シールドにも損傷は起こります。
絶縁体の損傷は、曲げ動作による材質の疲労や撚り構造内部での、材質の摩耗が原因となります。
絶縁体の損傷が、ひいては短絡を引き起こすのです。
ケーブルの外被も、柔らかくなって変形したり、破断して内部の撚り線やシールドが見えたりする場合があります。
外被の膨張や損傷が起きた場合はただちにケーブル交換が必要です。
ロボットケーブルを使用する過酷な環境に対して耐油性、耐薬品性が十分でないことや、周囲温度が低いことなどが原因です。
ケーブル内外の電磁干渉からケーブルを保護するシールドにも破損の可能性があります。
シールドの破損が起こると電磁干渉が起こるほかに、シールドの先端が線心にあたるとシールド効果の低減や、短絡も生じることがあります。
多くの場合はシールドの構造上、機械の繰り返しの曲げ動作に適さないことが原因です。
ただシールドの破損は外部からわかりにくいものであるため、対策も困難となります。
断線(線心破断)
線心自体も、曲げ動作により機械的な過負荷、引っ張ったときの負荷がかかって断線することがあります。
また、ロボットケーブルの断線というわけではありませんが、本来ロボットケーブルを使用する箇所に汎用ケーブルを使うことで屈曲や捻回時にケーブルが断線することもあります。
ケーブルは適切に選定するようにしましょう。
おわりに
ロボットケーブルのねじれや断線の耐久性を把握するには、ケーブルメーカー各社が公表している実用試験が参考となります。
万が一の損傷、ねじれや断線の際には速やかに交換ができるよう、各社の技術資料をチェックしておき、交換候補のロボットケーブルを考えておきましょう。