ケーブルの種類とそれぞれの特徴をご紹介
ケーブルには固定して使うものや移動させて使うもの、環境に配慮したものなど、さまざまな種類があります。
代表的な電線・ケーブルの種類と特徴をご紹介します。
ケーブルの使い分けとは
ケーブルとは導体に絶縁を施し、さらに外皮(シース)で保護したものです。
ケーブルは電圧や許容電流などの性能によって多種類の製品があります。
それぞれの特徴を把握し適するケーブルを選ばなければ、故障や事故が起こる可能性があるのは否めません。
またケーブルは性能が高いほどコストも高くなります。
ケーブルは消耗品であり交換することもあるので、ランニングコストの問題もついて回ります。
性能の過不足なくケーブルを使い分けるため、ひいてはコスト削減のために、各ケーブルの種類や特徴を把握することから始めてみましょう。
ケーブルの種類と特徴
VCTケーブル
VCTケーブルは絶縁体や外皮をビニルで覆ったキャブタイヤケーブルで、主に交流600V以下、直流750V以下の電圧において使われるものです。
柔軟性・耐水性・難燃性を有していて繰り返し運動に強いことから、建物などに固定しない移動用ケーブルとして使用されます。
また小型の発電機や溶接機などの電気機器にも使用されるケーブルです。
VCTケーブルには、焼却処分、埋め立て処分をしても有害物質を発生しないように配慮された材料で使ったものや、柔軟性をさらに高めたもの、耐捻回性に優れるなどの特徴をもつものもあります。
VCTFケーブル
VCTケーブルが交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用されるのに対し、VCTFケーブルは交流300V以下の電圧で使用されるものです。
FA(ファクトリー・オートメーション)の自動化機器によく使われます。
IV電線
屋内配線に広く用いられている絶縁電線のことをさします。
照明器具やコンセントへの渡り線や、接地用の電線が主な用途です。
外皮がないため、天井裏に電線を布設するような、電線が損傷しやすい布設方法は禁止されています。
このような布設の場合、IV電線を外皮で保護したVVFケーブルが用いられることとなります。
VVFケーブル
VVFケーブルは、「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」のことです。
構造はビニル被覆の外側をビニルシースで覆うという、シンプルなものです。
VVFケーブルが多く用いられているのは一般住宅、商業施設、公共施設などの低圧屋内の配線で、特に15A程度までの照明・コンセント回路に使われています。
VVRケーブル
VVRケーブルはVVFケーブルと同様の「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル」で、形状が丸形のものです。
VVRケーブルも低圧屋内の配線で使われています。
EM-EEFケーブル
電線・ケーブルを廃棄処理するときに環境に影響しないよう、材料が配慮されたケーブルをEM電線・ケーブル、あるいはエコケーブルと呼びます。
EM-EEFケーブルは、VVFケーブルをエコケーブルとして改良したものです。
VVFケーブルの絶縁体・外皮に使われている塩化ビニルは、燃焼時にハロゲンガスやダイオキシンを発生させることがあるため、ケーブル廃棄時における環境への影響が懸念されていました。
EM-EEFケーブルはこの塩化ビニルをポリエチレンに変えたもので、燃焼時のハロゲンガスやダイオキシンの発生を抑え、発煙も少なくしているのです。
一方で柔軟性が低下して施工が難しくなること、VVFケーブルに比べて高価であることなど課題もあります。
CVケーブル・CVDケーブル・CVTケーブル・CVQケーブル
CVケーブルは導体を架橋ポリエチレンで被覆し、周りにビニルシースを施したものです。
電力用ケーブルとして広く用いられており、住宅や商業施設、工場、研究施設など幅広い規模の建物や屋外の配線に用いられるのです。
軽くて扱いやすく、長期の使用にも耐えることができます。
CVケーブルを撚り合わせたものが、CVD、CVT、CVQの各ケーブルです。
CVDケーブルは2本、CVTは3本、CVQは4本のCVケーブルを撚り合わせたものです。
撚り合わせた本数が多いほど施工性や許容電流値が向上する一方で、放熱性能は低下します。
同じ径における許容電流値は、撚り合わせた本数が多いケーブルの方が低くなります。
ロボットケーブル
ロボットケーブルとは、産業用ロボットのアーム配線や、ケーブルベア配線などに特化したケーブルです。
産業用ロボットはアームで物を掴んで別の場所へ移動させるといったような複雑な動きを、繰り返し行います。
したがって産業用ロボットの部品であるロボットケーブルにも耐屈曲性や耐捻回性といった性能が求められるのです。
過酷な環境下でも使えるように、耐油性、耐薬品性、耐熱性、難燃性、耐ノイズ性などにも優れたケーブルも開発されています。
ただ高性能である分、コストもかかりがちです。
押さえておくべき性能を見極めてケーブルの断線が起こらないようにし、適切な製品を長い期間使うことができれば、結果的にコスト削減につながるのです。
おわりに
ケーブルの種類と特徴を簡単にご紹介してまいりました。
ケーブルを選ぶ際は利用目的や環境をよく確認し、メーカーの担当者とご相談ください。