FPケーブル・FPCケーブルとは?【ケーブル紹介】
防災用機器に用いられるFPケーブルとFPCケーブル。
今回はそれらの規格や派生品についてご紹介します。
FPケーブルとは?
FPケーブル(Fire Proof Cableまたは Flame Protection Cable)とは、耐火性能を持った電力用ケーブルです。
主に防災用機器の電源供給用、消防設備の非常電源回路といったように、火災に耐える必要のある機器・設備に用いられています。
FPケーブルは火災の熱によって「30分間で840℃まで加熱」されている間、防災設備へ問題なく電源供給できるという性能が求められているのです。
基準や規格
FPケーブルが満たすべき性能や試験方法などは消防庁告示第十号「耐火電線の基準」に示されています。
さらに詳しい製品規格や試験方法は、日本電線工業会規格(JCS規格)にて、下記のとおりに規定されています。
・JCS 4506低圧耐火ケーブル
・JCS 4507高圧耐火ケーブル
・JCS 7502ケーブル耐火試験方法(小型加熱炉)
FPケーブルが基準に適合しているかどうかの認定を行っているのは、総務省の登録認定機関である一般社団法人 電線総合技術センター(JECTEC)です。
JECTECによって認定されたFPケーブル、FPCケーブルには、表面に下記のように印字がされています。
・トウロクニンテイキカンJCT[ニンテイ] FP
・トウロクニンテイキカンJCT[ニンテイ] FP-C
価格の傾向
FPケーブルは一般のケーブルと比較して、耐火性能があるぶん高価となり、施工性も悪くなります。
したがって、法令上必要な場所にのみ使用される傾向にあります。
FPケーブル・FPCケーブルの違い
FPケーブルは、露出配線用として使用されます。
ケーブルラックなどに固定する施工であればFPケーブルを使用できますが、電線管に入れることはできません。
対してFPCケーブル(FP-Cケーブルとも呼ばれます)は電線管に入れて使用するケーブルです。
FPケーブル・FPCケーブルの使用用途
防災用機器の中でも非常電源を内蔵しているタイプの誘導灯や自動火災報知設備の受信機などは、ケーブルは不要です。
FPケーブル・FPCケーブルは、電源が機器の外部に設けられている場合に必要です。
たとえば排煙機や消火栓、非常用エレベーターなどは、電源を内蔵するのが技術的に困難であるため、外部電源が用いられます。
耐火性能を持つFPケーブルでも焼失すれば電源を失ってしまうので、人々の避難が完了するまでの間、耐え続けられるような設計がなされているのです。
また電線・ケーブル全般に、燃えても有害物質や煙が発生しにくく、リサイクルしやすい材料で構成されたエコ電線・エコケーブルがあります。
FPケーブルのエコケーブルには、ハロゲンガスなどが発生しないEM-FPケーブルやNH-FPケーブルといったものがあります。
おわりに
FPケーブルは高価ではあるものの、火災に備えるには欠かせないものです。
ケーブルを選ぶ際は担当者にしっかり仕様を確認しましょう。