ケーブルの中の介在は何のために?
ケーブルの中には、導体だけでなく介在と呼ばれる詰め物が入っていることをご存じでしょうか。介在を入れることによって線心の配置を安定させたり、ケーブルの強度を高めたりしているのです。
今回は、ケーブルに使用される介在の役割や材質、介在を使用しないケースについてご紹介します。
介在とは?ケーブルの中の介在が果たす役割
「介在」という言葉は、一般的には両者の間に他のものがはさまっていることを意味します。
一方、ケーブルなどに使用される介在とは、ケーブルの絶縁線心間の隙間に充填される詰め物のことで、ケーブルを丸く仕上げるために用いられます。
ケーブルの中は、数本から数十本の線心が撚られており、ケーブル内に介在を挿入することで線心の配置を安定させることが可能です。この介在はケーブルの強度にも深く影響する材料で、引っ張り強さなど強度の向上を目的に充填されているケースがあります。
介在に使用される材料
介在として使用される代表的な材料としては、綿糸・紙ひも、ジュート、合成繊維の3つが挙げられます。
綿糸・紙ひも
綿花を原料とする綿糸や紙でできたひもです。
ジュート(黄麻)
インドおよびバングラデシュを主産地とする黄麻の茎の皮からとった繊維です。ただし、最近は以前に比べて使用されなくなっています。
合成繊維(ポリプロピレン)
一般的にポリプロピレンは丈夫で、汎用プラスチックとしては最も軽く、耐熱性、耐薬品性、誘電特性に優れています。
介在を充填していないケーブルについて
ケーブルでよく使用される介在ですが、すべてのケーブルに介在が充填されているわけではありません。介在を充填しなくても線心の撚りが安定している場合、介在が充填されないことがあります。介在を充填するデメリットとしては、介在の充填により放熱性能が悪化することが挙げられます。
CVDケーブルやCVTケーブルといったいわゆる「より線」と呼ばれるケーブルは介在が存在せず、放射性能や許容電流がともに高いことが特徴です。また、介在を含まない分ケーブルの重量が軽くなり、施工性の向上が期待できる場合があります。
おわりに
今回は、ケーブルに使用される介在の役割や材質、介在を使用しないケースについてご紹介しました。
普段ケーブルを使用する際、ケーブルの中の介在を意識することは少ないかもしれませんが、介在はケーブルの安定性や強度に影響を与えます。
ケーブル選びの際は、介在の有無や種類を意識してみてはいかがでしょうか。