ロボットケーブルの種類について
ロボットケーブルは主に産業用ロボットの内部配線に使用され、特に動作が頻繁な部分にも使用されます。ロボットケーブルと一口に言っても、使用される部位(場所)によって求められる条件が異なるため、用途に応じた製品選びが重要です。
そこで今回は、主な3つのロボットケーブルの種類について、用途や使用上のポイントとともに選び方をご紹介します。
ロボットケーブルの種類1.可動用ケーブル
まずは、ロボットケーブルの中で「可動用ケーブル」に分類されるケーブルをご紹介します。
可動用ケーブルは、高速可動部用、中低速可動部用、ケーブルベアの3つに分類されますが、まずUL・cUL規格に適合したケーブルを選びましょう。その上で3種類それぞれに選び方のポイントがありますので、ご紹介します。
高速可動部用
高速可動部用のロボットケーブルは、「首振り」や「ねじり」など素早い動きを行う箇所に適したケーブルで、高速の動きに耐えられる耐久性を重視した構造になっています。絶縁体素材には耐熱性や耐屈曲性に優れたフッ素樹脂など、硬くて丈夫な素材を採用したケーブルを選びましょう。
中低速可動部用
中低速可動部用のロボットケーブルは「曲げる+ねじる」など、速さよりも動きの細かさや精度が求められる箇所に適したケーブルです。丈夫さよりも柔軟性が求められるため、絶縁体素材は耐久性や硬さよりも柔軟性を重視した特殊エラストマーなど、柔らかく柔軟性の高い素材を選ぶのがポイントです。
ケーブルベア
ケーブルベアはその名の通りベアに使用されるケーブルです。機械の中でもベアは、比較的単純な動きを繰り返す箇所です。柔軟性ではなく繰り返し使用に耐えられる耐久性や、使う用途に応じた強度を備えたケーブルを選ぶと、長く使えコストも抑えられます。
耐油性、難燃性など用途に応じて選べるPVCを採用したケーブルがおすすめです。
ロボットケーブルの種類2.固定配線用ケーブル
続いて「固定配線用ケーブル」をご紹介します。
固定配線用ケーブルは、クリーンルームで使用できるように粉塵が発生しないもの、UL・cUL規格に適したものを選びましょう。その上で、耐油性、柔軟性が欲しいならPVC、外部の電気影響を遮断するなら編組シールドを施したものなど、用途や使用条件に合わせて素材や仕様を選ぶことをおすすめします。
ロボットケーブルの種類3.ネットワーク用ケーブル
最後に「ネットワーク用ケーブル」をご紹介します。
ネットワーク用ケーブルは、接続するネットワーク環境によって規格が異なる点に注意が必要です。UL・cUL規格に適合したネットワークケーブルの中からLAN、USB、CC-Link、DeviceNetなど、ロボットが接続するネットワークの種類や規格用のケーブルを選びましょう。
ロボットケーブルの用途に適した性能・形状
ロボットケーブルの代表的な動きとしては大きくわけて、首振り屈曲、捻回、摺動があります。
用途や動きによってケーブルに求められる性能はさまざまで、各メーカーでは用途や動きに合わせ複数の種類のケーブルが開発されています。
どんな性能・形状のケーブルを選べばよいのか、産業用ロボットのロボットアームを例に挙げ、紹介します。
首振り屈曲が繰り返される部分
ロボットアームの手首の回転や、手首や腕を旋回させる部分などは、過酷な屈曲やねじれが繰り返し加わることになります。
こういった動きをする部分には耐屈曲性が特に高く、ねじれにも対応したケーブルを選びましょう。
回転などを伴わない関節部分は下位レベルの耐屈曲性ケーブルを使いわけて、コスト削減を図ることもできます。
性能はケーブルの曲げ半径、角度、速度といった試験要件で確認することが可能です。
また、首振り屈曲が求められるケーブルは、丸型の形状が適しています。
人が動かす部分
ティーチングボックスとコントロールユニットをつなぐリード線は、人が動かすために、曲げる、引っ張るなど複合的な動きが発生する部分です。
したがって柔軟性のあるケーブルが適しています。
細径化
細径化されたケーブルを使うと、機器のダウンサイジングができるとともに、柔軟性が向上するのが利点です。
また、ケーブルの絶縁体の素材に特殊エラストマーやフッ素系樹脂を使用して高屈曲性能を持たせた製品もあります。
一方で細径化されたケーブルの中には、屈曲性能を有していてもねじれには対応していない製品もあるため注意が必要です。
固定配線が可能な部分
コントロールユニット内に使われるケーブルは、基本的に固定配線用です。
またロボット本体とコントロールユニットとの連絡ケーブルでも、移動を伴わない構造なら固定配線用ケーブルを使える場合があります(移動する機器の場合には可動用ケーブルを用います)。
固定配線用ケーブルには優れた耐油性、耐熱性を特徴とする製品も存在するので候補として押さえておきたいところです。
硬さや耐摩耗性が求められるケーブルベア
ロボットケーブルは多様な動きに対応して柔らかく作られているのに対し、U字状に摺動するケーブルベアは、比較的動きが単純であるため、屈曲性能よりも適度な硬さや耐摩耗性が優先される部分です。
ケーブルの形状は並列接着が適しています。
おわりに
ロボットケーブルの種類と選び方をご紹介しました。
ロボットケーブルは、動きや用途に合わせて屈曲性のみならず耐ノイズや柔軟性、耐久性などの各性能がどの程度必要になるか考え、さらに使用条件に合わせて素材を選ぶのが重要です。
ロボットケーブルの性能の違いを認識した上で、予算に合わせて製品を比較・選択するようにしましょう。