電線とケーブルの違いとは?ロボットに使われるのはロボットケーブル
電気工事や生産工場など電気を扱う現場では総じて、配電に電線やケーブルが使われます。
電線とケーブルの違い、そしてロボットケーブルとの違いはご存じでしょうか?
電線とは?
電線と呼ぶ場合は一般的に、電気を通す導体(電気導体、電気伝導体)のみの裸電線、導体を絶縁体でカバーした絶縁電線のことを指します。
導体に使われているのは多くの場合、銅やアルミニウムです。
絶縁体とは電気を通しにくい物質のことで、素材としてはポリ塩化ビニル(PVC)や耐熱性ポリエチレンが広く使われています。
送電線のように人の手が届かない程度の高い位置に敷設する場合は、裸電線が用いられます。
一方、絶縁電線が使われるのは建物の屋内のように、接触すると人体に危険が及ぶ可能性のある場所です。
ケーブルとは?
絶縁電線の周りをさらにシース(外皮、外被)で覆ったものが、ケーブルです。
シースは絶縁体が傷ついたり濡れたりしないように保護すること、またケーブルを扱う人の安全性を高める目的で施されます。
ケーブルは柱や壁、天井への固定配線や自動制御を行う制御回路など、さまざまな用途があります。
また引っ張られたり圧迫されたりしても耐えられる強度を持っています。
すなわち電線とケーブルの違いは、一般的に導体の周りの絶縁体をシースで覆ってあるかいないかの違いです。
ただしこれらは便宜的に区別されているものであり、「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第1条の定義では、ケーブルも電線に含んでいます。
ロボットに使われるのはロボットケーブル
ロボットケーブルは、ロボットアーム配線やケーブルベア配線などに用いられます。
ロボットはアームの曲げや捻じりなどの複雑な動きや、摺動を何度も繰り返し行います。
ロボットケーブルはこれらの複雑で過酷な動きに耐えられるように設計されたものです。
ロボットケーブルは固定配線を想定されている汎用ケーブルよりも、柔軟性、耐久性に優れています。
またさまざまな使用環境に対応できるように、導体や絶縁体の撚りピッチや使われる素材を工夫することによって、耐捻回性と耐屈曲性、耐熱性や耐薬品性などを有しているロボットケーブルもあります。
このように高い性能を実現させるため、ロボットケーブルは厳しい性能試験をクリアしているのです。
おわりに
電線も汎用ケーブルもロボットケーブルも、用途によって様々な製品があります。
ロボットケーブル選定の際は産業用ロボットや、工作機械などの用途を各ケーブルメーカー担当者に伝え、相談するようにしましょう。