ロボットケーブルの用途や用途ごとのケーブルとは?
さまざまなロボットケーブルが販売されているなかで適切なものを選ぶためには、用途や条件を見極める必要があります。
ロボットケーブルの用途
ロボットケーブルは主に産業用機械に用いられます。
工場の自動化(FA: Factory Automation)の為の産業用機械に使われる部品であることから、FAケーブルとも呼ばれています。
このケーブルはロボットのアーム配線やケーブルベア配線など、曲げ、ひねり、繰り返しといった運動、かつ動作の正確性が求められる場面で用いられています。
ロボットケーブルが、高い耐屈曲性・耐捻回性を有しているのはそのためです。
ロボットケーブルを使用する機器
ロボットの動きは人がする動作のように複雑化しています。
一方で機械やロボットケーブルをはじめとする部品には、故障の原因とならないように耐久性が求められているのです。
たとえば下記のように、機器によって適切なロボットケーブルは異なります。
ロボットアーム
産業用ロボットは人の手のような“アーム”で、製品の溶接や組み立て、搬送などの作業を行います。
アームの首振り部分は複数の関節を持って垂直や水平の動きをし、アームの土台部分では捻回の動きをします。
この動きを踏まえ、ロボットケーブル選定で考慮に入れたいのは、曲げ半径や角度などがアームの動作に適合するかどうかです。
ケーブルの形状としては、首振り部分には丸型、土台部分にはスパイラルが適しています。
ケーブルベア
摺動を繰り返し行うベアにおいては、曲げ半径や速度の条件を満たしているかどうかがロボットケーブルの主な検討材料です。
ロボットケーブルはUの字のように曲げて使われるので、並列接着が適しています。
直線運動を繰り返すため、撚り線のピッチを短くする、あるいは撚り方向を逆にするなど、ケーブルの捻れを防ぐよう工夫されています。
用途ごとのロボットケーブル
ロボットケーブル選定にあたっては、ロボットの構造や許容電流、許容屈曲半径、布設環境への耐性などを考慮することが必要です。
すべてに優れたケーブルを使いたいところですが、高性能ならば当然コストもかかってしまいます。
下記のように用途に特化したロボットケーブルも視野に入れたいところです。
細径化
ロボットの複雑な動きに対応するべく、ロボットケーブルも捻回や耐油性などの機能はそのままに、細いケーブルが開発されています。
高屈曲
屈曲の動きに対応するためには、絶縁体や外皮の素材にも考慮が必要です。
ロボットケーブルにおいては、温度によって柔らかくなる特殊エラストマーや、機械的強度があり屈曲にも優れるフッ素系樹脂が使われています。
耐摩耗
高屈曲が求められるシーンもあれば、ベアのように動きが比較的単純で、限定された状況で使われるケーブルもあります。
ベアで使うケーブルは、耐摩耗性や適度な硬さがより重視されます。
おわりに
一般にベア向けのケーブルよりも細径化や高屈曲などの性能を持つケーブルの方が高価です。
ロボットケーブル選定の前に、用途や使用状況を整理することからはじめてみましょう。