ロボットケーブルの外皮(シース)やノイズの耐性について
ケーブルを選定する際には、外皮(シース)やノイズ耐性にも考慮しておきたいところです。外皮とノイズについて簡単にご紹介します。
外皮(シース)の耐性とは
外皮(シース)とは、ケーブル外側の被覆のことをさします。
基本的にケーブル内部の導体や絶縁体が濡れたり傷んだりしないように守る目的で用いられています。
ケーブルに負荷がかかる要素としては、曲げや摺動などの繰り返しの動き、紫外線や油などの作業環境によるものがあります。
すべての外的負荷に耐性のある外皮はありません。
したがって使用目的や状況を整理し、適した外皮の素材を選ぶ必要があります。
たとえば比較的安価であることからよく使われる「PVC(ポリ塩化ビニル)」にも、このような性能が求められます。
・過酷な環境下の使用においても耐えられるよう、耐油性や耐熱性を高めたもの
・屈曲性能を実現するために、柔らかさや滑性度を高めたもの
耐性とは別に、PVCは燃焼時に有毒なガスやダイオキシンが発生する恐れがあるため、環境に配慮してPE(ポリエチレン)が使われる場合もあります。
またコストが高いものの、耐熱性や耐候性、機械的強度のあるFEP(フッ素樹脂)もロボットケーブルに使われています。
ノイズについて
ノイズとは一般に目的以外の電圧、電流、信号などのことを言います。
ノイズが入ると、機器が誤作動を起こす可能性があります。
ロボットケーブルが関わるノイズとしては、誘導ノイズや放射ノイズ、伝導ノイズなどがあります。
たとえばロボットケーブルを移動するノイズが空中へ伝わり「放射ノイズ」となる場合や、放射ノイズがロボットケーブルに結合して「伝導ノイズ」となる場合もあります。
ノイズはロボットケーブルのみならず周辺機器も影響して、さまざまな原因や経路が複雑に絡み合うものです。
ロボットケーブルのノイズ対策だけでトラブルのすべてを解決するのは難しいことですが、それでも部品ごとに原因を除去していく必要性はあります。
ノイズの耐性も考慮する
ロボットケーブルのノイズ対策には、シールドを用います。
ノイズ対策をしたロボットケーブルには商品名や仕様に“シールド付き”“耐ノイズ”などと表記されています。
シールドのひとつが、錫(すず)めっきを施した軟銅線を用いて絶縁体と外皮の間で編組を行うことです。
編組とは、網状に編んだ銅線や繊維を被せる加工技術のことを言います。
おわりに
ロボットケーブルは、シースやノイズの耐性に考慮し、安全性の確保を十分に行う必要があります。
ケーブルの使用環境を整理のうえでメーカーの担当者に相談するようにしましょう。